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一般社団法人 へきんこの会

150人のひょうたん島に生きる~湯向公民館再生プロジェクト~

基本情報

企業名 一般社団法人 へきんこの会
所在地 鹿児島県熊毛郡屋久町口永良部1758-38
担当者名 山地 竜馬
団体HPのURL http://kuchierabu.jp/

団体がフォーカスする社会的課題・地域の課題、理想とする地域のビジョン

【社会的課題・地域的課題】
口永良部島の島民には、1人でも多くの人に島に「来てもらいたい。」「住んでもらいたい。」という願望を抱く人が少なからずいるが、そのほとんどが「今の生活で自分たちは精一杯」というような現実もある。

一方で都市に目を向けると、以前にも増して多くの人が島に対する興味や関心を強め、特に若い世代には地域貢献や自己啓発に励む人が増え、島に関する情報などもインターネットなどで容易に手に入る時代となり、離島と本土の距離はかなり狭まってきたが、口永良部島のように人口が少ない小規模離島などは、まだまだ情報が乏しいため、島の現状やそこに住む人たちの想いは、正しく認識されていない。

また、若者の多くは、「何かしたい。」と思いながらも、日常の生活や仕事から離れる「きっかけ」を掴めないでいて、情報はたくさん得ながらも自発的かつ積極的な行動ができない傾向があり、異なる価値観や異なる世代との交流の機会が少ないだけでなく、地域や社会との一体感や自らの有用感を感じる機会もなく、将来への希望や自分が存在する価値を見出すことのできない人が多いように感じている。

以上のような背景もあり、国や行政なども都市と農村の交流を積極的に進めていて、昨今ではかなり一般的なものになってきているが、それらの多くは学生が無償で農村で単純労働をしたり、行政や民間が税金を投入して一定期間だけ生活と雇用を保証するものがほとんどで、一時的には双方の満足度を高める効果が期待できるものの、自立的な産業の創出や継続的な活動にはつながらないと考えている。

その中で弊社では、昨年度に実施された地域イノベータ―プログラム2011において2名の研修生を受け入れたが、結果的に以下の点を課題と捉えている。

弊社は、特に会社の経営基盤や地域の支援体制が脆弱なため、経営者の想いと行動が先行してしまうため、相当に意志が強く行動力のある人材でなければ、成果を生み出すことが難しいと考えているが、逆にそのような人材でなければ、全国に数ある小規模離島のような僻地での起業や移住は実現しない。

【理想とする地域のビジョン】
口永良部島は、戦後に2000名ほどいた島民も現在は150名まで減少していますが、4年程前に島の有志による「口永良部島活性事業組合」が、昨年には島の若者を中心とする「口永良部島未来創造協議会」が設立され、島の若者が中心となって「島のあるべき姿」を模索しながら活動を開始しています。

口永良部島に最も必要なものを人材と捉え、単なる来島者でも滞在者でもなく、単なる移住者や起業家でもない人がこの島に来る又は居ることこそが大切であり、そのための基盤や仕組みが必要である。

  • いつの時代においても人々の営みが豊かに続く島を創造する
  • 150人の島を250人の島にしたい。
  • 100人を雇用する企業ではなく、100人が起業する地域であってほしい。
  • 150人の固定された概念や観念を解いて、島の自立を考える。

今回任せるプロジェクトの概要(団体のビジョンや戦略の中での位置づけ、実施背景や対象顧客、目指す状態・成果、このプロジェクトが地域に与えるインパクト、このプロジェクトの独自性など)

弊社は、口永良部島を拠点として、周辺の孤立小型離島と呼ばれる三島村や十島村の役場やNPO法人及び島民の方々を始め、屋久島や種子島の同志と連携しながら、新しい産業を創出することにより、島民の生活・文化・福祉の向上に貢献するとともに、それらの活動を通じて、都市の若者や学生等に対する教育を行うことで、離島の島民と都市の若者の双方が抱える課題の解決と目標の実現を支援し、将来世代が自然と共に人間らしく、真に豊かな暮らしができる地域の環境と社会の仕組みを構築することを目的に、自然と共に人間らしく生きることを目標にして活動をしています。

平成22年5月10日に会社を設立し、初年度は、口永良部島の島民の協力を得て、島なび学生隊という学生団体を組織して口永良部島で20日間程度の研修を行ったり、三島村の農業再生プロジェクトとして都市の若者に離島での農業や生活などの体験の機会を提供するなどの事業を行いました。

昨年度は、東京都内で20代〜30代の若者をターゲットにした移住者募集プロジェクトとして、ワークショップや口永良部島でのワークキャンプなどを行い、口永良部島及び弊社の知名度を高めることで、口永良部島に関わる人や実際に移住する人なども少しずつながら増えてきています。

しかしながら、それらの事業は試行錯誤で執り行われており、まだ十分なものを提供しているとは言い難く、弊社を中心とする運営側での連携や、受け入れ先である島側の問題、関係者との調整や周知など、多くの課題があるため、それらの問題点と向き合い改善し、事業の成果を上げることで島民からの理解を得て、自発的に事業を行うことにより、島内で自立した収入源を得る必要があると考えています。

そこで今年度は、口永良部島の移住交流体験施設「へきんこ亭」を拠点として、湯向公民館との連携により、天然温泉「湯向温泉」を活用した新しい観光や体験及び交流に関する事業を立ち上げます。

世界自然遺産の屋久島には、年間数十万人もの観光客が日本だけでなく世界中から来ていますが、その隣に位置する口永良部島への観光客はその1%にも満たないほどです。屋久島では縄文杉に象徴される登山がいまだに人気ですが、そのことが自然やそこに住む人々の生活に必ずしも良い影響ばかりではないため、入山規制や入島(山)料の導入などの措置がとられようとしているような状況です。

その中で本事業では、口永良部島に仕事を創るための1つの手段として、屋久島から口永良部島への観光・体験・交流プログラムを企画したいと考えています。観光客はもちろんですが、屋久島の移住者や都市に住む移住希望者なども対象にして、3泊4日から長期滞在までのプログラムづくりを行います。

このことにより、口永良部島での新しい産業と雇用を創出する可能性が拡がる共に、屋久島や都市部との交流を促進することで、環境と経済がバランスよく持続する新しいビジネスモデルが期待できることから、周辺の三島村や十島村などの小規模離島への波及効果を生み、将来的にも鹿児島から奄美や沖縄、台湾や中国までのかつては栄えた「海の道」を復活させることにもつながるものと考えています。

本プログラム参加者に期待する役割とプロジェクトの成果目標

【期待する役割】
私たちが目標とする「自然と共に人間らしく生きる」ためには、現代の社会や地域における固定観念や既成概念と真正面から向き合っていかなければならない。そのためにも自分なりに「軸」を持ち、全ての物事や事象を的確に判断し、自らの責任を十分に自覚したうえで、起業や移住に挑戦してもらいたい。

弊社の人員も島の人口も少ないため、指示待ちや支援頼みでは事が進みません。自らが主体的に考え、積極的な行動を求めていますが、慣れない地域や会社の環境の中で、それらのことは容易ではありません。しかしながら、自らの目標とそれに対する信念を持って取り組む姿勢さえあれば、社内の人間だけでなく、他の島民もすぐにその必要性を察知して支援してくれます。そのためにも普段から、どんな人たちとも分け隔てなく付き合いをするように努力し、「郷に入れば郷に従え。」の通り、理不尽なことや不都合な事も多々ありますが、まずは相手の言い分や考え方にじっくり耳を傾ける姿勢が大切です。

一方で、他者の意見や地域の情報(噂話)などに流されてしまうことも想定されますので、まずは自分の「軸」で物事をしっかり捉えたうえで、冷静な判断により適切な言動を心がけて頂きたいと思います。

いずれにしても、自分自身が「何のために島に来るのか。」ということを現時点で構いませんので、誰に対しても自信をもって伝えることができるよう、事前の準備と心構えをしっかりとお願いしたい。

【最終的な成果目標】
本プロジェクトの今年度の数値目標は以下の通りですが、基本的には下記施設の管理運営を任せることを想定しています。その他にも体験や交流プログラムを企画して集客数と売上高を上げて頂きます。

  • 移住交流体験施設(へきんこ亭新館)利用回数180回*1万円=180万円
  • 天然温泉施設(湯向温泉)利用者数2400名*200円=48万円

事業としては、上記の成果を上げて頂くことで、6万円/月程度を想定している最低所得が確保できるが、目標所得15万円/月程度を考えた場合、自分の得意分野を活かして起業に結びつけてほしい。

また、事業以外でも島民や観光客との交流などの娯楽を企画したりして、島の暮らしを楽しむ工夫ができれば、生活と仕事のバランスがとれるため、必ずしも事業の数値目標ありきとは考えてはおらず、それぞれの個性や特性に沿った役割を担って頂くことで、弊社全体として上記目標の達成を考えています。

具体的なプロジェクト内容と期間中の業務ステップ

期間 1・2ヶ月目 3・4ヶ月目 5ヶ月目以降
参加者に期待する役割 まずは、移住交流体験施設及び天然温泉施設の管理人として運営業務を行い、島民の顔を覚えて、島の雰囲気に馴染んでもらいます。

次に、島民向けの企画を立案したり、観光客向けの体験や交流プログラムなどの業務も行ってもらいます。

基本的な業務は変わりませんが、施設の利用方法等の見直しや企画を実施したりして、ある程度は独りで運営業務をしてもらいます。 これまでの事業の成果や課題を考えながら、運営業務を行うことにより、次年度に向けて、地域としてあるいは会社としてやるべきこと、自分自身がやりたいことを整理してほしいと思います。
期間中の成果目標 基本方針に沿った運営業務 自分なりの運営業務の確立 課題と成果の報告及び次年度に向けた事業計画の立案

今回のプロジェクトでしか得られない経験・スキル等

  • 150人の島にある10人の集落の再生を担う責任
  • 公民館という行政組織における集落の在り方を考える機会
  • 天然温泉を活用した島民と観光客の交流拠点となる施設の管理
  • 世界自然遺産の屋久島、周辺離島の三島村や十島村とのとの連携や交流を担う役割
  • 屋久島町役場や鹿児島県庁などの行政との折衝
  • 全国の仲間や同志との人脈の拡大

経営者メッセージ

当社は、2010年5月10日に150人ほどが住む口永良部島に会社を設立しました。この小さな島で仕事を創ることや住む人を増やすということは、本当に厳しいことですが、それらのことに挑戦をしている会社です。みんな辞めていく肉用牛を飼って、放置された土地を耕し、畑や牧場を作り、田んぼを復活させて、自分たちの食料は自分たちで賄うことを目標に、自然と共に人間らしい生き方を実践していきます。そんな生活や仕事に憧れる都市の若者や年配者を対象に、島の文化や歴史を学びながら、自然や人間の本物が実感できる体験プログラムを提供したり、大学のサークルやゼミ合宿、学生のインターンの受け入れ等を通じて、現金収入を得ることにより、夢を形にします。高齢者の福祉や若者や子供たちへの教育など、本来行政が担っていた仕事にも挑戦します。

自然と共に人間らしく生きるとはどういうことか、単なる理想や夢で終わらせたくない。そのことは現実でなければならないし、社会になければならない。自己満足にしたくない。自分自身が自然の中に身を置いて、人間らしい生き方を追求していきたいと思っているが、厳しい現実や複雑な社会と向き合っている私は、そんな夢とは程遠い日々を送っている。私は、田舎に住む高齢者や都会で働く若者たちが夢と希望を持って生きる社会にしたい。そんな社会であれば、きっと子供たちは目を輝かせているはずである。高齢者にはその夢を諦めない、若者たちにはその夢に挑戦を続けることができる環境と仕組みを創りたい。その舞台がこの口永良部島で、その形が一般社団法人へきんこの会という会社である。「世に生を得るは事を成す為也」、自分にできることをとことんやってやろうと思っている。夢に挑戦する人、家族を大切にする人、自然や動物を愛せる人、そんな当たり前のことを当たり前に実践する同志を求めます。

勤務条件

勤務頻度 個別対応
勤務時間 個別対応
勤務地 口永良部島(湯向集落)
活動手当等 6万円/月程度(副業可)
現地での生活にかかる費用 家賃5,000円~15,000/月、食費10,000~15,000円/月程度
必要な資格・免許等 信念と根性、心意気と行動力
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