挑戦できるプロジェクト
特定非営利活動法人 UNE
“農・障・高 連携” 日本の原風景が残る中山間地で、課題を資源に変える「仕事づくり型社員研修」をプロデュース!
基本情報
企業名 | 特定非営利活動法人 UNE |
所在地 | 〒940-0242 新潟県長岡市一之貝869番地 |
担当者名 | 代表理事 家老洋 |
団体HPのURL | http://une-aze.jimdo.com/ |
団体がフォーカスする社会的課題・地域の課題、理想とする地域のビジョン
プロジェクトの舞台の中心となるのは、新潟県長岡市(旧・栃尾市)の一之貝(いちのかい)集落。
長岡市街から栃尾方面へ車で15分ほど、少し長めのトンネルを抜け、「一之貝」の立て看板を目印に少し山を昇ると、そこには、思わず息をのむような美しい棚田の風景が広がります。豊かな緑ときれいな水、山の中腹の傾斜地ならではの美しい景観に恵まれ、米・野菜・山菜の美味しい所です。
長岡市一之貝集落は、現在、人口353名。特にここ10年ほどの間に、新潟県中越地区では2004年の中越大震災や豪雨等、自然災害も重なり、人口の減少、空き家の増加、生活の中心である農業の担い手不足と耕作放棄地の増大という状況が加速しています。65歳以上人口の割合が示す高齢化率は42%。小学校は既に2001年に廃校(隣接地域の小学校と統合)となり、地元で初等教育が受けられなくなったことで、子どものいる若い世代は街場に引っ越していき、残されたのは高齢者ばかり。いわゆる「限界集落」の一歩手前といっても過言ではない状況です。
また、標高250mに位置する一之貝は、新潟でも有数の豪雪地帯であり、真冬には3m近い雪が積もることもあります。こうした冬場の雪下ろしをはじめ、現在でも首都圏の大学から学生が単発のボランティアに
来るようになっていますが、そうした外部からのボランティアを受け入れるコーディネート機能の不足が高齢化した住民の負担にもつながり、集落の一部では、ボランティアの受け入れ自体、前向きに考えづらいという声も聞かれている状況です。
2011年、この一之貝集落に、NPO法人UNEは、地域活動支援センター「UNEHAUS」をオープンさせました。UNEは、「障害者も高齢者も、そして健常者も若者も、全ての人が人間らしく、誇りを持って一生安心して暮らせる“ユニバーサル社会”」の構築を理念に掲げ、豊かな自然の下で皆が一緒になって取り組む「農園芸作業」を通じて、「労働の喜び」と「生き甲斐」を、そこに暮らす全ての人が感じながら生活していける、持続可能な社会のモデルをつくっていくことを目指しています。
現在、事業としては、UNEHAUSを拠点として、障がい者とともに、農業(野菜・花の栽培)、農産物の加工・販売、直売所の運営、「UNEHAUS」での給食事業(地元の食材を使ったお母さんたちの手料理)、子ども向け「自然ふれあい学習塾」の開催等を行っています。
<理想とする地域のビジョン>
現在の福祉施策では、高齢者福祉、障がい者福祉、児童福祉…と、縦割りのシステムの中で一つ一つが分けられていて、それぞれのための施設が別々にあり、住み慣れた地域の中で、皆がともに助け合って暮らしていくための仕組みにはなっていません。
過疎化が進む中山間地域は、別の見方で捉えれば、『社会的弱者と云われる障がい者、高齢者、児童を含む誰もが安心して生活し続けられる空間』とも言えます。そこには、平場のまちや都会では失われた「地域の絆や伝統」が存在し「高齢者の知恵」が沢山詰まっており、豊かな「自然」に恵まれています。そして、その絆、伝統、知恵のお陰で、お金のかからない、経済的で人間的な生活を営むことが可能な空間となります。
UNEは、この中山間地域において、農商工連携ならぬ「農・障(がい者)・高(齢者)連携」を実現させ、1人1人が自分の役割を見出し、誇りと生きがいを感じられる「しごと」を手にして活躍できる、そんな中山間地域の再構築をビジョンに掲げます。
そのビジョンの中に、そこで生きていく若者の存在は不可欠です。若者には、未来があります。20年後、30年後の社会を語る時、実際にその未来を生きるリアリティーのある若者が中心となって、ビジョンを実現させていく推進力となるべきです。
今回任せるプロジェクトの概要(団体のビジョンや戦略の中での位置づけ、実施背景や対象顧客、目指す状態・成果、このプロジェクトが地域に与えるインパクト、このプロジェクトの独自性など)
2012年度、UNEは、外部の助成金を活用し、地域での仕事おこしを命題にした調査事業を実施します。
若手の専従職員が中心となり、地域活性化推進員として住民ヒアリングを通した地域の実態調査を行い、また集落の構成メンバーによる委員会・専門部会等も開催します。
今回のプロジェクトでは、この調査活動を通じ、「中山間地の資源を活かした、企業の若手社員研修受入れ事業」の立ち上げに向けた調査・企画立案・営業を行っていただきます。
背景として、2004年の中越大震災から8年、その間、中山間地の復興と活性化に向け、多額の復興基金とともに、様々な取り組みがなされてきました。その多くが、グリーンツーリズム等の個人向け観光振興、また新商品(モノ)の開発等の産業振興ですが、全国に競合も多く、マーケティングの専門性にも欠け、なかなか収益化には至っていません。
そこで、企業・団体向けの若手社員研修受入れを事業化し、その研修のフィールドとして、中山間地のありのままの「課題」と「資源」を提供することを考えています。異なる世代との交流の機会が少なく、働く使命感や志、自分たちの仕事の先にある地域や社会の“幸福な姿”を感じづらくなっている働く若者と、地元住民、双方に価値のあるプログラムを、地域外・地域内にともに通じたコーディネーターがきちんと設計し、対話を重ねて練り上げ、仕組みとして事業化していくことで、ビジョンにも掲げた「農・障・高×若者連携」の地域づくりが可能になっていくのではないかと考えています。
商品やツアーなど、「出来上がったものを売る」のではなく、現状ある地域の課題と資源から、ビジョンの実現に向かっていくプロセス自体を商品として、「住民と訪れた若手社員との対等な交流」から、「そのプロセスにともに参加し、一緒に考えること」をプログラム化していくという発想です。
このプロジェクトの実現により、地域には下記のようなインパクトが生まれると考えます。
- 研修のコーディネート業務による雇用創出、他、受入れ・滞在にあたっての経済的効果
- 住民がまちの歴史や知恵を若者に語ること自体が研修プログラムとなり、住民に誇りと生きがい、地域資源の再発見を生む
- 「研修」により若者が定期的に訪れる仕組みができ、さらに、ともに地域の課題を考えることが若者にその地域への当事者意識を生み、農産物の定期購入等、その後も継続した関係性につながる
同様に、参加企業・団体にとってのメリットとしては、下記のような点が挙げられます。
- 非日常空間での課題解決型ワークショップ・プログラムがもたらす社員の連帯感醸成
- 若手社員の、働くモチベーションへの好影響
- 地域の現場に即した、課題解決型ビジネスモデル発想を社員に意識づけられる
- 研修の実施自体がもたらす、社会貢献企業としての認知
- (長期的に)福利厚生の一環として、安心安全な野菜の契約栽培、社員用一括購入等を視野に入れられる
今回のプロジェクトでしか得られない経験・スキル等
- 中山間地の「限界集落」の実像・暮らしにふれ、住民や関係者の声を現場からヒアリングする経験
- UNEHAUSを拠点に、障がい者・高齢者とともに作業を行いながら「仕事づくり」を学ぶ機会
- 現在の分断された福祉施策の問題点とその解決策について、その領域での海外先進都市(ドイツ)への赴任経験もつUNE代表に学びながら、ともに仕事を進めていく経験
- 地域特有の慣習等の中で、住民参加の会合や企画をコーディネートしていく調整力
- 行政との折衝
- 地域内外の「価値」をつなぐ研修プログラムを立案する構想力、企業への提案力
本プログラム参加者に期待する役割とプロジェクトの成果目標
【期待する役割】
「コミュニティ・デザイン」
まずは、一之貝集落で実際に暮らし、農作業等にも参加し、とことん住民と対話する中で、その暮らしの中にある「資源」と「課題」を、自らの五感で感じてほしいと思います。そして、特に都市型ライフスタイル経験者としての視点でそれらをとらえ直した時に、若者の潜在的欲求とも組み合わせて、どのような研修プログラムが企業に提案可能か、その事業の道筋をつけていってもらいたいと思います。
また、このUNEの取組みには、行政はじめ地域各機関の関係者が関心を寄せており、そうしたステークホルダーと丁寧に連携しながら、事業を前に進めていくことも求められます。
- UNEの現事業への参加、住民との交流
- 調査事業として、委員会・専門部会の開催や住民ヒアリングの実施
その土地の暮らしに入り込み、徹底して「聴き」「寄り添う」こと - 「中山間地の資源を活かした、企業・団体の若手社員研修」実施プログラムの構想・立案
この土地で暮らし、体感した価値観を、企業に向けた提案としてきちんと表現できること - プログラムの仮実施に向けた営業・提案・コーディネート実務
コーディネーターとしての構想力と調整力
【最終的な成果目標】
- 「中山間地の資源を活かした、企業・団体の若手社員研修」実施プログラムの構想・立案
- 実施にあたってのコーディネート実務マニュアルの作成
- プログラム試験実施企業・団体の獲得と、実施によるフィードバック・改善点の収集
- 事業報告書の作成
経営者メッセージ
高齢化・過疎化の進む中山間地域の集落には、「限界集落」と呼ばれる集落がすでにいくつかあります。村を人に例えるならば、ただ死をじっと待っている村が、まさに限界集落です。夢も希望も持てない、ただ死を静かに迎えたいと望む村には、子どもも若者も、そしてしごとも活気もありません。
しかし、これまで幾多の困難と闘いながら何百年も続いてきた村が、何不自由ない物資的には非常に豊かになった時代に亡くなってしまうのは、まさに皮肉としか言いようがありません。道路も整備され、インターネットもケーブルテレビも整備されたのに、これまで守り続けてきた田畑は荒れ、山は荒れ、川には土砂が堆積してしまい、大雨が降ると直ぐに溢れてしまう。
そんな中山間地に新たなしごとを起こし、そこで若い人たちが働くようになれば、きっと限界集落から「元気集落」に変わっていくのではと期待しています。そのためには、何より課題のある現場で1人1人と向き合い、ともに汗を流す人が、事を動かす権限を持つべきです。この一之貝地域でチャレンジする人には、こうした過疎地での仕事づくり一式を学んでもらい、今後、別なところへ行っても自ら新しい仕事が創れるようになってほしいと思います。
「農・障(がい者)・高(齢者)×若者連携」、課題と課題、資源と資源を掛け合わせることで、無限に仕事はつくれます。そのために、地域にはコーディネーターが必要です。
そんなに大儲けできるしごとではなく、高齢者や障害者でも携わることのできる、小さくても誇りあるしごとを起こすことに、ともに汗をかいてくれる人を待っています。
勤務条件
勤務頻度 | 週5日(休日/火・金) |
勤務時間 | 8:15~17:15 |
勤務地 | 「UNEHAUS」(新潟県長岡市一之貝869番地) |
活動手当等 | 月額 30000円~50000円 |
現地での生活にかかる費用 | 住居支給、食費1,000円程度/日(自炊可能) |
必要な資格・免許等 | 運転免許(マニュアル) |